81道場、対三段戦。
後手が私
向かい飛車からの中盤から終盤に切り替わりつつある場面だ
下図では、後手の手は△5三とか△7九飛成か悩むところだった
実戦は△5三とと、銀を補充した。
いきなり飛車を切っては足りないと思ったからである
図以下、△5三と▲5二と△7九飛成▲同玉△8七銀に▲7八金と打ったところだ。
△5三とと▲5二との交換で金うちの守備が生まれた。
さらに本譜では、△5三との一手が大きく響く結果となった
図以下、△6八歩▲8七玉△6九歩成▲8八玉△7九銀▲9七玉△7八銀となった
この手は△8七銀成からの詰めろなので▲8五と逃げ道を開けてきた。
よって私は△8七銀成同玉とすすめた。
快調だと思って進めていたのだが、少しずつおかしなことに気づきはじめていた。
下図が問題の局面である
まず金が一枚足りていない。つまり△8八金としてしまうと、▲8六玉△8七金打しかないが、明確に駒が足りないのである。
そこで軌道修正のために、金を打つのではなく△8八銀成となり捨てた。
これは▲8六玉なら一枚金を節約しているため△8七金▲7五玉△7四金で詰む。
よって△8八銀成には▲同玉の一手だ。そこで△8六金と頭を押さえたのが下図である。
この局面、次に後手の手番が来ても先手は詰まない。
△8七金打▲8九玉△7七金上で先手は必至ではあるが。
ということは△8六金には先手は後手に詰めろを掛けたら勝ちになるのだ
この手は▲7一角からの詰めろである。といって△6一同銀ととっても▲7二飛などと捨てて後手は詰む。
後手は一手負けである。
△5三とと銀を取った手が響いている
しかし飛車を切った後では、軌道修正の場面などないのだ。
そう、飛車を切るのをやめるか、飛車を切るタイミングをずらすかしかない。
しかし飛車を切らないと相手は寄らない。
だから△5三とは悪手になるのだ。
では△5三とにかえて△7九飛成ではどうなっていたのだろうか
再掲した最初の図から、△7九飛成▲同玉△8七銀と同じように進める
ここでは先手の手持ちの金がないので▲7九飛などとすることになる。
この図は後手有望である。
△5六歩が厳しく、頭金の筋を見せつつ歩を絡めていけば、駒を取りながら寄せていける。
例えば△5六歩▲同銀△7九と▲同玉△5七銀▲6七金△6六歩などだ
▲5七金なら△同金▲8七飛△6七歩成と進めていけばいい。
すくなくとも後手には詰めろがなかなかかからない。
先手は頭金の筋や飛車を取られて打ち込まれる筋がちらちらしている。
たった一手、△5三とを入れただけで結論が大きく変わってしまった。
△5三とは終盤の入り口のあたりではあっただろう
しかしそれでも終盤は終盤。駒の損得よりも速度なのである